東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1008号 決定
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〔決定理由〕三、次に附随の処分について考える。
1 財産上の給付
(一) 本件現存建物の一部は昭和二年頃建築されたもので、本件増改築により建物の耐用年数が延長し、また建物買取請求権が行使された場合、地主の負担が増加するので、本件増改築により借地権の存続期間が延長される蓋然性が増加すると認められる。したがつて当事者間の利益の衡平を図るため申立人に対し、相手方への財産上の給付を命ずることが相当と認められる。
(二) 右財産上の給付の額につき、鑑定委員会は本件借地の更地価格を3.3平方米あたり三二万円、建付減価三%建付地価格三一万円と評定し、借地権の残存期間、申立人が本件増改築によつて受ける利益申立人が本件借地周辺の草分け的存在であること、単価と総額との関係等を総合考慮し、右建付地価格の2.5%にあたる一二〇万円を相当としている。(本件資料によれば、借地権の残存期間は昭和五四年一二月五日までであり、申立人は本件借地を昭和二年頃から賃借して同所に居住し米穀商を営んでいることが認められる。)
(三) 当裁判所も右鑑定委員会の意見を相当と認めるので、申立人が本裁判確定の日から六ケ月以内に一二〇万円を相手方に支払うことを条件として申立にかかる増改築を許可することとする。
2 賃料について
(一) 本件借地の賃料は昭和四一年四月以降月一万〇、八二一円(3.3平方米あたり七〇円)に合意改訂されたが、昭和四三年四月以降相手方がこれを三割増額し月一万四、〇六七円(3.3平方米あたり九一円)とすることを請求したところ申立人はこれに応ぜず、以後従前の賃料を供託中である。
(二) 鑑定委員会は、本件増改築許可に伴い賃料を3.3平方米あたり月八三円と定めることを相当としている。
(三) 相手方は本件土地附近に所有している約五、〇〇〇坪の土地を申立人のほかにも約九〇人の借地人に賃貸しているが、うち二三人との間で賃料増額をめぐつて紛争中であり、そのうち六人に対しては既に賃料増額の訴訟を提起している。申立人に対しても賃料増額の訴を提起すべく準備中であつたところ、本件申立がなされたのでこれを保留している。そこで相手方としては本裁判の附随処分において、賃料を昭和四三年四月分以降3.3平方米あたり一六〇円と定められることを希望するが、もしこれを認められないのであれば訴を提起する予定であり、他の紛争中の借地人への影響もあるので本件においては地代額の決定はなされないことを希望している。
(四) 当裁判は、本件増改築に伴う利害の調整として前記財産上の給付に加えて更に賃料の増額を考慮すべき理由は乏しく、かつ賃料に関する右の紛争は本件増改築とは直接の関係がないと考えられるので、右のような相手方の希望も考慮し、この点については借地法一二条による調整に委ね、本件においては考慮しないこととする。(白石悦穂)
一、現存建物
木造亜鉛メッキ銅板葺二階建一棟
床面積 一階一六五、二八平方米(五〇坪)
二階 二二、三一平方米(六、七五坪)
二、増改築の内容
右現存建物のうち二階建部分を残し、その余を取りこわし、右残存部分を含む次の三棟の建物を建築する。
(一) 木造鉄板葺モルタル塗店舗兼居宅二階建
一階一六五、二八平方米(五〇坪)
二階 一三六、三六平方米(四一、二五坪)
(二) 木造鉄板瓦交葺モルタル塗居宅二階建
一階 七六、〇三平方米(二二坪)
二階 二四、七九平方米(七、五坪)
(三) 軽量鉄骨(肉厚三、三ミリ以下)ブロック造平家建車庫四一、三二平方米(一二、五坪)